元気な発酵人 vol.13

長野県調理師会会長:湯本忠仁さん

長野県調理師会会長を務める湯本忠仁さん。有名旅館や料亭の料理長を経て、2001年長野市吉田に「ゆ庵」をオープン。2009年に現代の名工、2013年には黄綬褒章を受章されています。後進の育成にも情熱を注ぎ、和食文化の発展に貢献し続けてきました。今回は、そんな湯本さんに、発酵レシピコンテストの審査委員長を務めていただきました。

発酵レシピコンテストの応募レシピを見て

今回のコンテストは学生から社会人、主婦まで幅広い年代の方にご応募頂きました。皆さん発想が豊かで、食材を面白い使い方をしている方もいらっしゃって、私自身も学びがありましたね。特に凍り豆腐を甘酒に漬けて戻す方法。普通はお湯で戻すのですが、それでは余ったお湯を捨ててしまうことになるため、もったいない。戻すために使った甘酒もしっかりと料理に使用する今の時代に合ったエコな使い方ですよね。 ※甘酒で凍り豆腐を戻した、かき揚げのレシピ  

長野県の発酵食品文化

発酵食品の魅力を多くの方にるには、作ってみたくなる手軽さがあるレシピこそ、であることが大切と思い、審査をする際の軸としました。 長野県人は発酵食品を普段から取り入れることによって、健康の基盤がつくられていますが、他県の人にとっては、食べ慣れない長野県の発酵食品は珍しいようですね。調理師会でも発酵食品をより普及させていくための取り組みを行っていますが、このようなコンテストもより多くの方に魅力を知っていただく良い機会だと思います。

長野県の良さを外に出て実感

一度、故郷を外から見てみることをおすすめします。私自身も料理の勉強のために県を出て、その時に初めて長野県の水がおいしいことに気が付いたんです。水が美味しければ野菜だって美味しくなるんです。普段は当たり前にある環境や食材の魅力は、外から見ないと気がつけないんですよね。外から自分の県を見るっていうのも大事だと思います。

後進の教育について

調理師を目指す若者には、料理のことだけでなく、興味のあること全てに目を向けて、経験を積んでほしいですね。一見無駄なことだと思われることでも、将来の糧になりますから。 旅館の調理師を務めていたころ、常連のお客様に、「素朴とは多くのモノを取り込んだ後に余分なものをそぎ落として必要なモノだけ残した状態のことだ。はじめから素朴を目指してしまうとつまらないものになる。」と言われたことがあります。若かった私にとって、この言葉は忘れられないものになりました。 そぎ落とす作業は多くを知らなければできないことですから、見識を広げてもらいたいです。

元気な発酵人!

長野県調理師会会長を務めながらも、今なお現役で日本料理「ゆ庵」の料理人として活躍している湯本さん。人材育成にも情熱を注ぎ、次世代への技術伝承にも貢献し続けています。

湯本忠仁さんが会長を務められている長野県調理師会のHPは下記URLから!

日本料理「ゆ庵」

https://nagano-ck.jp/

営業時間:12:00~14:00/18:00~21:00(いずれも要予約)

定休日:水曜日

所在地:長野県長野市吉田4-4-27

電話番号:026-263-1416