糀屋本藤醸造舗は1869(明治二)年に糀屋として創業し、こだわりの味噌づくりを行う蔵です。
今もなお糀から手造りする創業当時からの製法を守り続けている本藤さんにお話を伺ってきました。
日本の発酵食品は糀から
糀屋本藤醸造舗のこだわりは何といっても、”室蓋(むろぶた)製法”という昔ながらの木箱を使った伝統の手造り米糀です。
温度や変化を人の手で確かめながら丹精込めて作られます。「いい糀を造るところからスタートしないと、そのあとの味噌も醤油も甘酒もいいものができない」と本藤さんは言います。
糀屋伝統の米糀を使用し上質な国産米と国産大豆に自然塩を加えて、蔵の中で一年以上熟成させる、天然醸造で造られた味噌のお味は格別で、長野県や全国の味噌品評会で幾度も賞を受賞しています。
多品種小ロットの味噌
糀屋本藤醸造舗では種類豊富な味噌の製造・販売が行われており、中でも少量の味噌が数セットで販売されている
「信州ソムリエみそ」がひときわ目を引きます。ワインの世界でいう“マリアージュ”のように、
味噌にも好みやお料理によってお互いをより高める相性の良い組み合わせがあるのではという発想から生まれました。
手造りの糀は少ロットにも対応できることから、伝統の技術と現代のニーズをうまく調和させた発酵食品の
製造・販売を行っているのも、この糀屋本藤醸造舗の魅力の一つです。
発酵食品と健康
過去に、 味噌汁は減塩運動の矢面に立たされ日本の味噌業界は大きな打撃を受けました。
本藤さんは「古来より食べられてきたものが、体に悪いわけがない」と話します。
昔は栄養食や保存食という名目の食べ物でしたが、今日まで残ってきたということは、やはり日本人にとって必要不可欠なものなのです。
現在では味噌汁が貴重なカリウムやマグネシウムの摂取源であり、日本人の食に欠かせない機能食であることが解明され、
またその後の甘酒ブームや塩こうじブーム、また海外での日本食ブームの影響もあり、国内でも発酵食品の良さが見直されています。発酵食品のPR活動の一環で糀屋本藤醸造舗では、現代社会の生活スタイルに合わせ、発酵食品に触れられる機会作りを積極的に行っています。
発酵食を通じて人々が集う場所に。
「ただのお店では面白くない」という思いから、長野オリンピックの翌年に建てられた糀屋本藤醸造舗の店内には“多目的ホール”がつくられました。
ここでは味噌造り体験を月2回のペースで地域の小学校や一般の方向けに開催しています。豆をつぶし糀を混ぜて容器に入れて、
家で熟成させながら味噌に触れる工程を大人から子供まで楽しむことができます。またプロを招いたクラシックコンサートや
音楽を中心とする発表会の貸しホールとしての側面も持ち、年間様々な行事が催されています。
糀屋カフェオープン
7~9月は土日祝日限定で“糀屋カフェ”をオープンして地元の人や観光客でにぎわいます。
このカフェではすべてのメニューに発酵食品を使用したこだわりの定食などを味わうことができます。
いままでは「造って卸す」のが仕事だった糀屋さんですが、現在は様々な形で、
たくさん発酵食品に触れられる機会を作り発酵食文化をこの糀屋本藤醸造舗から発信しています。
元気な発酵人!
味噌屋さんの社長にして、現役で味噌造りに携わっている本藤さん。
時代の変化に合わせ信州の味噌の魅力がより多くの人に伝わるよう、
糀も味噌もチャンスも自分の手でつくる元気な発酵人です!