創業明治35年長野市善光寺の門前町で100年以上みそ造りを行ってきた、すや亀。“発酵食文化の伝道者を目指して”を使命とし味噌と歩んできた店主の青木茂人さんに発酵食品の魅力についてお話を伺ってきました。
長野の味噌
長野県の味噌は“信州味噌”と呼ばれています。白みそや津軽味噌などと材料は同じですが、地域ごとに大豆と米の配合比率と熟成期間で、色や風味・味わいが変わります。今日本で生産されている味噌のうち、5割がこの信州味噌になります。
美味しい味噌はツヤとテリが出る
みそ造りのこだわり
味噌を作るうえで大切なのが良い原料を使う事と、なにより仕込みの技術。味噌は原材料がシンプルだからこそ職人の技と勘が大切になります。味噌づくりの命ともいわれる「発酵・熟成」すや亀では味噌の熟成に100年以上前の木桶を入れ替えて使用しています。現在は管理がしやすく、大量生産に向いたステンのタンクで熟成させるのが主流ですが。木桶でゆっくりと熟成した味噌はまろみと使いやすいやわらかさがあります。木桶で味噌を作る業者も減少し、木桶を作る職人も高齢化が進み国内でも数えるほどしかいません。
現代人の味噌離れ
最近では朝食にパンを食べる家庭が多くお味噌汁が食卓に上がる機会が少なくなっています。昭和48年には最盛期だった味噌の出荷量も今はその7割に、このまま味噌離れが進んでしまうと味噌の味を知らない人が今後出てきてしまう。そこで大切なのは味噌の“味覚体験”をしてもらう事と考えて、すや亀では味噌の加工食品の開発に1970年代から取り組んでいます。
食卓に“味噌”を!
最初に開発したのは“くるみ味噌”甘口の味噌にクルミと砂糖・みりんで仕上げた味噌で食卓にそのまま出すことができる“おかず味噌”として発売しました。おかず味噌シリーズは現在16種類以上。その中でもテレビにも取り上げられたのがカレーみそ。大豆ミートを使用しガラムマサラが効いたスパイシーなカレーみそはご飯だけでなく”パン“にもよく合う一品です。また30年前に発売した“みそソフトクリーム”は多い時には一日で3000個をうりあげる人気商品。今では善光寺表参道の名物です。今までに、すや亀が開発した味噌加工商品は実に300種類以上にのぼります。
老舗からの新たな提案
働きに出る女性も増えて現代は忙しい人が多いから、なるべく手間がかからず、美味しい発酵食品を食卓にお届けするまで、お手伝いをしたいと話す店主の青木さん。すや亀では、時代の流れを、うまくを取り入れながら味噌という文化を今日も伝えている。
元気な発酵人!
学生時代はサイクリング部に所属していた、青木さん。忙しい仕事の傍ら、サイクリングで日本縦断を60才で達成。地元紙に取り上げられたことも。日常的に発酵食品を取り入れた食生活が健康の秘訣です!